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翼の揚力(Lift)を計算する式

揚力を求める式 

上記は翼の揚力を計算する式です。 Private Pilotでは必要はありませんが、この式を知っていると、色々な事が分ってきます。ちょっと数式の記号を説明してみます。

一番左にある「L」がLiftを表しています。水平飛行では重力と同じになるのですが、色々な事をして荷重(G)が増えると、より多くのLiftが必要になります。

ρ(左から4つ目)をローと読むんですが、これは空気の密度を表しています。 密度が半分になれば、Liftも半分になると言う意味です。 例えば: 
    ・上空に行くと空気の密度が下がるので、それに比例して揚力(Lift)も減少します。 
    ・ 気温が高い夏場も密度が下がるので、揚力が下がります。 到達できる高度も低くなります。
    

次の「S」は翼の面積を表します。 普通ではこれは一定です。 フラップを降ろしたりすると面積が増えるのでこの「S」も増えますが、これは通常のフライトでは一定と想定しても良いでしょう。

「V」は飛行機の速度を表しています。 ご存知の通り、コロコロと変わります。 あと注意して欲しいのは速度は2乗になっています。 速度が2倍になれば、揚力(Lift)は4倍になると言う事です。逆に速度が半分になると、揚力は4分の1に減少してしまいます。

次の「CL」はちょっと難しいのですが、揚力係数と呼ばれるもので、翼の揚力を生み出す能力とでも言いましょうか。 一般的な「CL」は下記の表の様になります。

横の軸が 迎え角(Angle of Attack)で、縦の軸がこの翼のCLを示しています。

Angle of Attackが大きくなると、CLが増して行き、Lift(揚力)が沢山生まれる事になります。ですから上昇したい時にはPitchを上げて、Liftを大きくしています。実際にはPitchでは無く、Angle of Attackを大きくしています。

Critical Angle of Attack
注意して頂きたいのは、角度を付けすぎると、空気の流れが翼から剥離してしまいます。これが失速と言う現象で、急激に揚力(Lift)が減ってしまう状態です。これは速度に関係なく、角度で決まっています。 この角度をCritical Angle of Attackと言います。

重たくなると、、、

もし、飛行機の重量が大きくなるか、荷重(Load Factor)が増えると、高度を守る為には、その分だけ揚力(Lift)を増す必要があります。
密度、面積、速度が同じとするとCLを増すのが方法となります。その為にPitch(Angle of Attack)を上げる必要が出てきます。すると空気抵抗が増えるので、速度が遅くなります。速度が遅くなるとまたLiftが減るので、もうこしPitch UPするかエンジンの出力を上げて高度を守るようにします。

高度を保った飛行でピッチ姿勢を決める物は?

高度を一定にして飛行するのに必要な条件は、揚力を一定に保つ事です。 式に当てはめると、L(Lift)が一定になる必要があります。
揚力さえ、一定であれば速度が変わろうと、大気が変わろうと一定高度での飛行が可能になります。

揚力を求める式 

一定高度で飛行擦する時のピッチ姿勢を決めるには、この式の右側の数値の変化を組み合わせてL(揚力)を一定になる様にします。
式の右側の数値を適切に調節して、揚力を一定にします。

  • ρ(密度)は場所によって変化します。 密度が高くなれば、揚力が増えるので、Pitchを下げるなどして、高度を保ちます。
  • V(速度)は、エンジン出力やピッチ調節で変化し、制御も出来ます。エンジン出力が一定なら、Pitchで調節します。
  • CLはAngle of Attackに比例します。そしてPitch (エレベーター)でも調節が可能になります。
  • Sは翼の面積ですから、フラップを下げるとか特殊な状態を除き、一定です。

この様に考えると、水平飛行を保つ為のPitch姿勢は、空気密度、速度、そして迎角(Angle ofAttack)によって決まってしまいます。

エンジンの出力は直接的な関係は無いんです。 エンジンが速度(v)を変えた時か姿勢を変えた時に、揚力(L)が変わります。
Relative Windが重要ですが、Flight PathやRelative Windは翼の向きとかが有るので、これも直接的な関係はありません。

 

Stall Speed と 重さやG(荷重)の関係

重さやG(荷重)が増えると、CLを増すために、Angle of Attack(迎え角)を増やす事になります。
すると増えた分だけ、Critical Angle of Attackに近付きます。その為、失速速度が速くなります。
ですから、45度以上の急旋回では、高速でも失速する場合があると意識する必要があります。 

それから急下降から上昇を始めると荷重(G)が増えるので、この時も高速で失速する場合があります。
Spinからの回復やダイブからの回復には、 ゆっくりと機首上げをする必要があります。

Manuevering Speed VAの注意点

この速度は無理が出来る、最大の速度と言う意味です。この速度以上での飛行は可能ですが、無理な飛行は構想破損や空中分解の可能性が有るので、この速度以上では急激な操縦は禁止されています。

軽くなると、Liftが少なめで済む為、CLを減らす事が出来ます。Angle of Attackが小さくて済むので、失速速度も遅くてすみます。
軽量での飛行に問題が有るとすれば高速で飛行する時です。Angle of Attackが小さいので、無理をしても中々、失速せん。
一見、良さそうに思えますが、高い荷重(G)でも失速しない為に、制限荷重を超えてしまい、機体に損傷を及ぼす可能性があります。
重たければ無理すれば失速するのですが、軽い為に逆に低速での飛行が必要となります。

この為、VA、Manuevering Speedは重量が下がると速度も遅くなります。
例 Cessna 152の場合
1670 pounds: 104 kts KIAS
1500 pounds: 98 kts KIAS
1350 pounds: 93 kts KIAS (軽い方が、無理できる速度が低い)

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