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Thunderstormとアクシデント (ADM Aeronautical Decision Makingの例として)

実際に掲示板に書かれた恐怖の体験談です。 三途の川と言うか航空機事故の一歩手前。 今後の為に読んでみて下さい。 この体験を元に色々と勉強が出来ればと思って、ページを作りました。 この様な話には正解は無いでしょう。 私は私なりの意見を書かせて頂きますので、皆さんもご意見を下さい。

操縦を訓練するには、単に操作を学ぶだけでは有りません。 危険な状態を察知し、回避して、事故を防ぐと言うのがあります。 日本から渡米される方は時間的な制約があり、この事故防止を教えきれずに終ってしまう場合が多いの、この機会に勉強してみて下さい。Aeronautical Decision Making ADMと言います。 そんな単純な物じゃ無いのですが、この話を研究する事によって良い勉強になると思います。 (今回は一例の、察知 > 回避 > 事故防止です。)

Thunderstormが有っても安全だ、飛行は可能だ」と言う考えが有り、その様な教習も行われているると書き込みが有りました。 雷雲が見えているだけでも怖いのに、信じられない環境が有ると、驚かされた出来事です。 その脅威の書き込みを見て、とんぼさんが体験記を投稿してくれしまた。勇気を持って、体験談を共有して頂いたとんぼさんに感謝します。 天候の良い西海岸で訓練されている方が多いと思いますので、Thunderstormの近くを飛行した訓練生は居ないでしょう。 彼の恐怖から、何かを学び取りましょう。 
(私はどんな理由であれ、ThunderstormとSpecial VFRでの飛行は薦めませんし、止めます

 記事と書き込み(HTML版) : 目的 : 概要とまとめ : 私の意見 : Flying IMC

ここの掲示板から抜粋: 記事番号: 438

管理人さん、みなさん、はじめまして。

僕はフロリダでプライベートを取りましたがサンダーストームが安全なんてことはありません。
僕もクロカンの帰りに嵐の中ロスポジしながら帰って来た時があります。VORも故障でフリーズしていました。
その日、4時に起きて離陸直前まで3度もウェザーブリーファーに確認しましたが、「悪天候の心配はない。楽しんできて」と言われました。天気図にもそれらしきものは見当たりませんでした。
ところが出発後、行程中ほどからどんどん積雲が増えて来ました。このクロカンでは2か所に着陸して戻るはずでしたが、とりあえず最初の目的地までわずかなので向かいました。
降りた後も雲がどんどん海側から流されてきていました。自分の飛行場は南。次の目的地は西。ここの飛行場で天気図を確認もせず、天気が変わる前にさっと次の目的地へ行って、すぐ帰ろうと離陸しました。
それが失敗でした。
西から雲が流れ込んでいる状況、西には海。ぼこぼこ積雲系の雲が発生し、気付いたら右も左も下も。
それもどんどん大きくなって。
それでも次の飛行場につきました。飛行場には僕一人でした。中のオフィスにはなぜか誰もおらず、無人。そして壁にはここの海で墜落した事故の新聞のスクラップが貼ってあって・・・
怖くなってしまい、こんな寂しいところから早く出ようと、離陸。 もう雲の回廊のようなのがところどころできていました。
さらに雲は急速に発展していきました。陸上にも海上の方にもバーチカルクラウド。
非常に気流も悪くなり高度も保てない。雲を避けようとくねくね、やがて雲も避けられなくなりました。 

インクラウドすると凄い音、真っ暗、上昇気流でうんと付きあげられたと思ったら今度は下降気流、頭を天井にうちます。ウィングレベルがやっと。ちょっとすると飛行機がとんでもない姿勢になるしVSIが大暴れ。失速警報が鳴りっぱなし。
まっすぐに穏やかに飛べないからMCなんて使えない、DGのリセットができない。
実は最初の目的地に向かっている時からVORがフリーズしていたのですが、あの時に引き返すべきでした。
もうこの時点でロスポジしていたのです。高度もかなり低くミニマムALTも守れません。
あとは航空図だけが頼りです。もう地上を見ても物標なんてわかりません。結局海岸沿いを飛びました。雷が自分の同高度に見たり、見下ろしたりしたのは初めてでした。突然真っ白になったり、あれは打たれたのでしょうか?もうその時は怖くてRADIOも切っていました。ラジオが雷でやられると思ったからです。そういえばもう2番目の飛行場を出てからその周波数に全く他機の交信も聞こえませんでした。おそらくあの天候じゃ誰も飛ばないでしょう。異国の空にひとりぼっち。凄く孤独を感じました。もう死ぬかと思いました。どうせ死ぬなら日本の陸地に落ちたかったな、とも思いました。そんなことを思いながら海岸線を飛んでいたら見覚えのある景色が見えてきたのです。そこは以前教官と飛んだことのあるエリアでした。このエリアは出発地の南西に位置しています。逆を辿れば帰れる、そう思い変針しました。飛行場を見逃さぬようさらに地上を凝視しながら飛びました。ようやく飛行場が見えて来ましたが、もうこの時は、がぶられまくりだし、雨も酷い。800FTのパターンALTでしたが雲のせいで600FTかそれ以下を飛びました。パワーラインに気をつけて。ファイナルもがぶられ無理かと思いましたが再びパターンを回っていたらもっと酷くなるかもしれない、「どうせひっくりかえすならタキシング中にしてくれ」そう思いながら強引に着陸しました。
あの日のフライトをもう一度やれと言われたら絶対生きて帰る気がしません。
僕は大馬鹿ものでした。

乱文すみません、いつもは見る専門なのですが、フロリダに行かれる訓練生もおられると思い、つい書きなぐってしまいました。
もし教官に臆病者と言われるとしても、臆病者と呼ばれる勇気と強さを持ってください!

私 >今回の書き込みを、サイトで紹介しても宜しいでしょうか?

このような駄文でよければ、もちろん構いません。
死人に口なしと言いますが、僕はたまたま生きていたから経験談を書きました。
武勇伝などではなく恥ずかしい体験談です。
読んでみてもお分かりのように複数の判断ミスの連続で事態をますます悪化させたのです。
たとえサンダーストームがあるから、ないからで飛ぶに限らず、結果として気付いたらあのような事態になっていたのです。
サンダーストームが出ていて飛ぶなんていうのは、無謀以外の何物でもありません。
また、よく何事も経験なんて言葉がありますけど、世の中、経験しなくてよいこともたくさんあります。
これもその一つです。僕の経験を反面教師として我が身に降りかかったこととして、何か気付いていただければそれでいいのです。

これから訓練されるみなさん、予報と実際の天気や風が違うなんてことはしょっちゅうです。
フロリダでもです。
たとえばシーブリーズで積雲が流されてきているとします。海では次のでっかいやつが製造され発達します。流されてきた積雲もどんどん発達しますし、くっつきあいます。陸地上空でも発生し発達します。フロリダは湿地や湖が多く湿度も温度も高い。
一旦上がると ウェザーブリーファーや各予報と全く異なった天気が待ち受けています。  こんな光景が見えてきたら180度引き返してください。
迂回して目的地に着いたところで、そこで一泊したくないですよね?
そんな時は帰って家で次の日の予習でもした方がいいんです。

Thunderstormでの飛行が違法とは言えません。 しかし、Thunderstormは危険で避けるべきと言うのが常識と思っていました。 でも、現実ではThunderstormがあっても離陸する飛行機は現実に居ますので100%否定するのは間違いとは言い切れません。 しかし、その様な航空機は気象レーダーを搭載した設備もしっかりした飛行機に、経験豊富な操縦士が居るのでしょう。 高級機が飛行しても私らが飛行しても良いとは絶対に思えません。 私の考えを並べてみましたので、考えてみて下さい。

事故防止やADM Aeronautical Decision Makingの例として最適と思います。最終的にはADM向けと言うよりも、私の意見を羅列しただけのページになりましたが、安全な飛行の為にとでも思ってください。 長い割には、メッセージ性が少ないと反省していますが、色々な思いが交錯して長文になってます。


記事と書き込み(HTML版) : 目的 : 概要とまとめ : 本文 : 私の意見 : Flying IMC

 

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